
交通事故に遭ってしまった際、多くの方は加害者側の保険会社に対して賠償請求をするものだと考えがちです。しかし、加害者の保険会社との交渉がうまくいかない場合や、十分な賠償が受けられないケースも少なくありません。
そこで活用できるのが「被害者請求」です。これは、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の制度を利用し、被害者が直接保険会社に対して補償を求める手続きです。
この記事では、被害者請求の仕組みや手続き方法について、分かりやすく解説していきます。
被害者請求被害者請求とは?
通常、交通事故の賠償は加害者が加入している自賠責保険を通じて行われます。しかし、加害者が対応しない場合や、示談交渉が進まない場合には、被害者自身が請求することが可能です。
被害者請求をすることで、最大120万円(傷害の場合)の補償を受け取ることができます。後遺障害が認定された場合は、さらに上限額が増えます。
被害者請求と加害者請求の違い
被害者請求と混同されがちな手続きとして「加害者請求」があります。
被害者請求 | 加害者請求 | |
請求者 | 被害者本人 | 加害者側の保険会社 |
目的 | 直接自賠責に請求し、補償を受ける | 加害者側が被害者への賠償を自賠責に請求 |
メリット | 早期に補償を受け取れる | 手続きを加害者側に任せられる |
被害者請求のメリットは、加害者の対応を待たずに補償を受け取れる点にあります。特に、加害者が無保険だった場合などには、非常に重要な手続きとなります。
被害者請求の流れ
被害者請求を行う際には、以下の手順で進めます。
① 必要書類を準備する
被害者請求には、次のような書類が必要になります。
・自賠責保険の請求書(保険会社指定のフォーマット)
・事故証明書(警察で取得)
・診断書・診療報酬明細書(病院から取得)
・通院交通費の領収書(公共交通機関を利用した場合)
・休業損害証明書(勤務先から取得)
② 自賠責保険会社に提出
書類を揃えたら、加害者が加入している自賠責保険会社に提出します。加害者が無保険の場合は、「政府保障事業」に請求できます。
③ 審査・支払い
保険会社が審査を行い、問題がなければ請求額が支払われます。通常、1〜2か月程度で審査が完了し、補償金が振り込まれます。
被害者請求のポイント
- 期限に注意する
被害者請求には時効があります。
傷害による損害 → 事故日から3年以内
後遺障害による損害 → 後遺障害が確定した日から3年以内
期限を過ぎると請求できなくなるため、早めに手続きを進めましょう。
- 不足書類がないか確認
書類に不備があると、審査が長引いたり、補償が受けられなかったりすることがあります。しっかり確認して提出しましょう。
- 専門家に相談する
手続きが複雑な場合や、後遺障害認定を受ける必要がある場合には、行政書士や弁護士に相談するのも有効です。
まとめ
被害者請求は、交通事故の被害者が直接自賠責保険に補償を求める制度です。加害者の対応が遅れたり、示談交渉が進まなかったりする場合に、被害者請求を活用することで早期に補償を受けることができます。
事故の被害に遭った際は、適切な手続きを行い、必要な補償を確実に受け取りましょう。分からないことがあれば、専門家に相談することも大切です。
皆さんや大切な人が事故に遭ったとき、被害者請求の仕組みを知っておくことで、適切な補償を受ける第一歩を踏み出せはずです!